大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和40(ク)78 決定

主 文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告人の抗告理由第一について。

論旨は、「現行憲法に於ては帝国憲法下に於て成立した法令を継受すべき旨の規

定を欠いているのであるが、斯くては、帝国憲法の失効と同時に、それ等の法令が

その存在の根拠を失う事となるのは理の当然である。従つて、帝国憲法下に於て成

立した競売法とその法令を適用してなされた原審決定は当然破棄を免れない」と主

張する。

しかし、憲法施行前に適式に制定された法令は、その内容が憲法の条規に反しな

い限り、憲法施行と同時に効力を失うものでなく、反面において、その内容が憲法

の条規に反するときは、効力を有しないことは、当裁判所の判例とするところであ

るが(大法廷昭和二三年六月二三日判決、刑集二巻七二二頁、大法廷昭和二四年四

月六日判決、刑集三巻四五六頁参照)、本件において、論旨は、競売法が憲法に違

反して失効する所以を憲法の具体的法条を掲げて主張していないから、抗告理由と

して不適法といわざるをえない。

同第二について。

論旨は、「帝国憲法の根本原理は、天皇主権に在り、現行憲法は主権在民に在る

のであるが、帝国憲法に於ける天帝主権の規定は絶対改正を許されないものであつ

たから、現行憲法に於ける主権在民の宣言は帝国憲法改正の限界を越えたもので、

無効たるを免れない。而して現行憲法に於ける、その根本原理が無効である以上、

現行憲法規定は従つて無効である。従つて現行憲法の下に於ける裁判制度も無効た

るを免れないから原審決定も無効であり、破毀を免れないものと思料する」と主張

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する。

しかし、民訴法四一九条ノ二により、高等裁判所がした決定につき最高裁判所に

対し不服を申し立てる権利は、憲法三二条の規定によつて保障されたものであり、

また、最高裁判所が該申立を審判する権限は、憲法七六条の規定に渕源する。した

がつて、これらの規定を含む憲法の全体の無効を主張しながら、当裁判所に原決定

に対する不服を述べる本論旨は失当というべきである。�

よつて、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人の負担とすべきもの

とし、主文のとおり決定する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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